経営方針
株主・投資家の皆様へ

株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

ここに、当社第51期連結会計年度(2022年7月1日から2023年6月30日まで)の業績についてご報告申し上げます。

なお、当社は2021年12月16日開催の第49期定時株主総会の決議により、決算期を従来の9月20日から6月30日に変更いたしました。これにより、当連結会計年度(2022年7月1日から2023年6月30日まで)と比較対象となる前連結会計年度(2021年9月21日から2022年6月30日まで)の期間が異なるため、経営成績等に関しましては、前期との比較については記載しておりません。 

当連結会計年度の概況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関わる制限緩和を背景に、経済社会活動が正常化に向かい、緩やかな景気回復が続きました。一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源・原材料・エネルギー価格の高騰、世界的な金融引き締めに伴う急激な為替変動や物価高騰等を背景に、世界経済の景気後退リスクが高まっており、国内景気は不安定な状態が続いております。

このような状況のなか、当社グループでは、2018年の創業100周年を機に、企業メッセージ「前田工繊は混ぜる会社です」を掲げております。このメッセージには、当社グループが持続的成長を遂げるための強い思いを込めており、グループの持つあらゆる経営資源を「混ぜる」ことで、成長戦略である「M&A」、「海外事業」、「人材育成」を積極的に推進するための原動力になると考えております。

M&A戦略においては、当社グループがこれまで培ってきた繊維・樹脂の加工技術に捉われず、異分野がもつ様々な技術やノウハウを「混ぜる」ことで、新製品や新技術を創出してまいります。

海外事業においては、海外拠点の生産能力を拡充するとともに、外国籍企業との業務提携等を通じて国内外の技術や販売ネットワークを活用することで、当社グループ製品の市場拡大を目指してまいります。

人材育成においては、当社グループ社員全員を戦力化するほか、多様な人材を採用・育成し、それらの能力・経験から生まれる人的資源を「混ぜる」ことで、イノベーティブな組織風土を築いてまいります。また、当社グループでは、「従業員の健康が会社の未来を決める」との考え方のもと、すべての従業員の健康に深く関わっていくことを決意し、「健康宣言」を行っております。今後も健康で働きがいのある職場づくりに向けた様々な施策に取り組んでまいります。

このように、当社グループは、モノづくりを通じて、「私たちは 独自の知恵と技術で 持続可能な地球 そして安心・安全で豊かな社会を創るために 貢献してまいります。」という経営理念を実践し、さらに世の中から必要とされる企業となるよう努力してまいります。

当連結会計年度の売上高は50,204百万円となりました。利益面におきましては、営業利益は8,493百万円、経常利益は8,690百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5,258百万円となりました。

セグメントの業績

ソーシャルインフラ事業

当社の公共工事事業においては、盛土補強材の販売が伸び悩んだものの、景観資材、河川護岸材、海洋土木品、斜面緑化製品の販売が堅調に推移しました。利益面においては、原材料価格の高騰に対応した販売価格への転嫁が徐々に進んだほか、製造原価の削減を進めた結果、好調に推移しました。不織布関連の製品は、スパンボンド(連続長繊維不織布)の産業資材・自動車資材向け販売が伸び悩んだほか、マスク等の医療・衛生資材の受注が落ち込んだ結果、売上・利益とも厳しい結果となりました。

獣害対策製品、園芸用ハウス、農業資材を取り扱う子会社の未来のアグリ株式会社においては、園芸用ハウスの受注が伸び悩んだものの、獣害畜産関係の受注が伸長したことにより、売上・利益とも好調に推移しました。また、天幕や帆布生地製品を取り扱う子会社の未来テクノ株式会社では、防衛省向け製品の受注が低迷したものの、一部大型案件の受注や海洋土木製品の販売拡大が奏功したことから、計画に対して順調に推移しました。海外子会社であるMAEDA KOSEN VIETNAM CO., LTD.においては、原材料価格の高騰の影響があったものの、取扱製品の拡充により、売上・利益とも計画に対して順調に推移しました。

以上の結果、当事業の売上高は30,152百万円、営業利益は6,438百万円となりました。

インダストリーインフラ事業

インダストリーインフラ事業では、精密機器製造用ワイピングクロス、衣料・各種産業資材用の丸編製品を製造・加工・販売する子会社の未来コーセン株式会社において、精密機器の一部生産調整によりワイピングクロスの売上が伸び悩んだほか、電力料や仕入れ価格の高騰によるコスト増加を受け、売上・利益とも計画を下回る結果となりました。

自動車用鍛造ホイールを製造・販売する子会社のBBSジャパン株式会社においては、上期まで国内自動車メーカーの減産による影響が続いたものの、下期にかけて減産による影響が緩和し、OEM供給が回復傾向にあるほか、同社のドイツ子会社BBS Motorsport GmbHによる業績の下支えや製造原価の削減効果もあったことから、売上・利益とも順調に推移しました。

以上の結果、当事業の売上高は20,051百万円、営業利益は3,098百万円となりました。

 株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2023年8月